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categoryスケッチ帳

『羽衣』

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 男の女の間の深い溝……
 伝承のウラをのぞくと、いつも悲しい真実に突き当たる。


 === === === === === === === === === === 

森の中の泉で、男は水浴びしている天女を見つけた。
男はひとめで恋に落ちる。
 
ここまでは美しい話だ。だがここから、男の恋はゆがんでくる。
なぜ男は素直に
「あなたが好きです。僕と一緒にこの村で暮らしてください」
と告白しなかったか。
男のプライドが傷つくから?
自分に愛される自信がないから?

男は天女の羽衣をかくしてしまう。
羽衣がなければ空に帰れない。悲しみ、途方に暮れる天女の前に
男は救済者として現れる。
「お嬢さん、お困りですか?」

ここからしばらくは幸せだ。二人は一緒に暮らし始め、住まいは整い、
子供が生まれる。
最初の高揚感が引いた頃、男の不安が頭をもたげる。
「本当は空に帰りたいのだろう?」
「本当はこんなところで暮らしたくなんかないのだろう?」
「俺のこと、愛してないんだろう?」
最初のところでつまづいているから、二人の愛は対等でない。
男は、天女がこの村を、自分の子供を、夫を愛していることがどうしても
信じられない。
「羽衣さえ見つかれば、いつでも俺たちを捨てるつもりだろう?」
男は、愛を確かめたくて、事あるごとに女を責め立てるようになってくる。
(それでも俺を愛していると言ってくれ)

日本は昔話の頃から、キスとハグの習慣がない。
子作りがすんでしまえば、スキンシップで愛情を確かめるチャンスがない。
日本の男は、女の悦びに無関心だから、子作りさえ愛の確認にならない。
男は自分の自信を失わないために必死で、女はだまって抱きしめてもらう
だけで十分幸福なのだというシンプルな事実に気づかない。

天女は本当はとっくに隠してあった羽衣を見つけていたかもしれない。
天女は男が隠していたという事実にショックを受ける。男がウソをついたから
ではない。男が自分の愛を信じていないからだ。

やがていたたまれなくなって、天女は男と子供を残して空に帰ってしまう。
男は悲しい予感が成就して、安堵さえ覚えたはずだ。やっとこれで不安から
解放された。
男は自分の悲愴な運命に夢中で、天女も泉のほとりの静かな村での暮らしを、
子供たちを、夫を失って悲しい、ということに気づかない。

天女が再び、男の前に戻ってきたらどうなるだろう。
男の目の前で、天女が羽衣を焼き捨てたらどうなるだろう。
やっと安心して、ひとりの女として受け入れる?
それともまた、「本当は後悔しているんだろう?」と責める?

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〔テーマ:自作小説ジャンル:小説・文学

 









        
 
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