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猫は家を建てる(ココ・シリーズ最新刊)

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 北も北、どこよりも四百マイル北のムース郡では、騒がしい秋を迎えていた。いつもなら<南>からの観光客が帰って、本来の落ち着きを取り戻す季節にもかかわらず、今年の秋は誰もがそわそわ浮き足立っていた。

 ピカックスのダウンタウンでは、噂が飛び交っていた。
<ロイス>では、
「ミスターQの家のことを聞いたかい」
「去年、あの立派な納屋が放火されてよ」
「どうせ、ピクスビーのごろつきどもの仕業に決まってるさ」
「いなくなった博物館の館長が犯人だって言う奴もいるぞ」

 新しくできた<ホーマー・ティビット・ティールーム>では、もう少し洗練された言葉遣いで噂が交わされていた。
「全くミスターQは災難だったな」
「しかし新しい家のデザインをコンテストで募集するというのは彼らしいよ」
「<ムース郡なんとか>が主催するそうよ。」
「あの快活な広報担当、ほらヒクシー・ライスが企画するそうだ」
「あら、まあ。彼女が企画した催し物は、いつも失敗すると聞いたけど」

 インディアン・ヴィレッジのクラブハウスでは、もっと下世話な噂が声をひそめて交わされていた。
「クィルはどうでるだろうね」
「ポリーがいきなり帰ってくるなんてな」
「でもパリでは3年契約のはずだったんでしょう」
「ほら、何年だか前、ポリーは心臓の手術を受けただろう。その術後ケアの調剤がうまく行かなかったらしい」
「パリは芸術の都かもしれんが、現代的な医療は期待できない、と実感したわけだな」
「でもクィルは、あの柳棟の女弁護士とデートしてるんだろう」
「ポリーはクィルより、パリを選んだのよ。二匹の猫も見捨ててね。急に戻ってくるからといって、何もかも元の鞘というわけにはいかないわ」

 噂の本人は不在だった。
 例年なら、インディアン・ヴィレッジを出てピカックスに戻っているシーズンだったが、湖に面したログハウスに来ていた。考えをまとめたかったのだ。

 ポリーが来週、パリから帰ってくるという知らせはクィラランを混乱させていた。彼は解決できない問題を抱えたとき、よく猫に話しかけた。利口なココは、いつも糸口になるインスピレーションを与えてくれたものだった。そして、愛らしいヤムヤムは煩わしい悩みにささくれだった気持ちをなだめてくれるのだった。しかし、さすがの二匹も女性問題には力を貸してくれなかった。ことにココは、歴代のクィルのガールフレンドにことごとく冷淡な態度を取っていたのだ。



てな感じで、二冊先辺りにもう一波乱。

えーと、念のため、この文章はフィクションです。実在の、そして「ココ・シリーズ」の登場人物、地名、店名、一切と関係ありません。個人的な楽しみのためのパロディです。
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〔テーマ:自作小説ジャンル:小説・文学

 









        
 
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