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アルマジロの懺悔

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 ずっと抜けないトゲがある。SNSを通じて知り合った15歳上の友人が一昨年亡くなった。年上の同性の、何というかこんな大人になりたいと思う理想像のように思えていた。もちろん彼女も当時公私ともにいろんな悩みを抱えていて、そんな話もたくさんしてくれた。SNSのメッセンジャー機能を使った昼休みや夜中のチャットという気楽さで、あの当時一番何でも話した相手かもしれない。あちらもこちらもかなり踏み込んだ話を暴露し合っていた。

 彼女の抱えたトラブル込みで、投げ出さずヒステリーも起こさず対処していて、当時八方塞がりのドン底にいた私は勝手に”大人だなあ”と憧れていた。そういう視線が彼女にとって、うれしい部分と重い部分もあったのかもしれない、と今になって気がついた。まるっきり180度違うと言っていい業界にいながら、それぞれバツイチで経済的に自立して自宅のローンを払っていて、ちょっと同志という気持ちもあった。共通の話題や趣味、興味が多くて、800キロ離れているのに、そしてお互い相当に忙しいのに、行き来し合ってけっこう頻繁に会っていた。
 一緒に旅行に行ったこともある。今思うと、あの一泊旅行からだんだんボタンの掛け違いが大きくなって来た。彼女は私と同じ職業の妹さんがいて、その妹さんが私と同じ鬱症状で長年投薬治療をしていた。その妹さんのことを私に愚痴るのだ。妹は鬱を口実に家族の義務を放棄している。妹の方が収入や時間のやり繰りが利くのに。自分だって苦しい時もあったのに。何年も病気をやっていられるのは、そうやって甘えられる環境があるからだ。その矢は全部私に刺さった。
 そういう事が何度かあって、それでも大事な友人なので付き合いが続いていたが、少し心理的に距離を取るようになった。自分を守るために。ある日、彼女が管理者の会員制チャットグループで、鬱が話題になった。メンバー中一番若い女性が、時々極端な発言をしてトラブルが起きていたのだが、その時もメンバーの中で長年鬱で苦しんでいる公務員の方をターゲットにしていた。安定した職業で甘えていられるから鬱になる。公務員なんて何の野心もなく安定だけを求めた人間が、私たちの税金を使っている。公僕なんだから何を言われても仕方ない。私の隣のご老人は、出勤途中の公務員を見かけると罵倒して石を投げる。私は聞いていられなくて反論したが、友人は若い女性の肩を持った。”彼女はほとんと社会に出たことのないお嬢さんなんだから。理詰めでイジメないで”という趣旨のことを言われたように思う。私は公務員のメンバーのために怒ったが、私の職業ももともと公務員のようなもので、同じような批判に曝されて来たから、自分のために反論した部分もある。世間知らずで残酷な攻撃を、安定した職業にいるから甘んじて受け入れなくてはいけない。グループの管理者として、反論した私をたしなめた彼女もやはり同じことを感じていたのではないか。その場でグループを脱退し、友人とその若い女性をブロックした。二度と会いたくないし、ポストも見たくなかった。怒ったというより、自分の精神を守るために遮断する必要があった。
 そのまま数年が過ぎ、友人の訃報を聞いた。涙が出なかった。泣けない自分が悲しかった。彼女とはいろんな話をした。いろんな場面で彼女を思い出す。今も彼女がいたら、一緒に冒険が出来た。たくさん計画を立てた。モロッコに行こう。天売島もいいな。プラハはどう。彼女と一緒なら同じ旅行地でも得られる情報が5倍になったはずだ。きっと楽しかったと思う。私は相変わらず薬が手放せないが、少しずついろいろこなせるようになり、低空飛行ながら何とか失速せず生きている。私よりずっと大人で私よりすっといろんな責任を果たしていた彼女がもういない。この数年、サボっていた私の30倍ぐらい生産性の高い活動をしていたはずだ。こんな私が生き残っている。今年、私は出会った頃の彼女の年齢になった。
 私の弱さのために、友人を失った。そしてもう二度と修復できない。でももし今、彼女に会える機会があったとして、会いたいのかどうかわからない。そんな自分が情けない。
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